前回の続きです。
前回Play+Redisでスケーラブルに動くWebSocketアプリケーションが完成したので今回はそれを実際にHeroku上で動かしてみます。
といってもCLIで「heroku labs:enable websockets」を叩く以外は特に変わったことをする必要はありません。
この辺は以前にも書いたのでそちらも参照してください。
http://blog.flect.co.jp/labo/2013/12/herokuwebsocket-aad6.html
実際のところはデプロイすれば特に何の問題もなく動きます。
★HerokuでWebSocketアプリを動かす場合の留意点
Herokuの特性と照らしてWebSocketアプリを動かす時に気をつけなければならない点がいくつかあります。
ざっと思いつくところは以下です。
- 通信が無い状態が30秒続くと接続が切れる
- マルチDyno対応
- デイリー再起動がある
1番目の30秒ルールへの対応はクライアントまたはサーバから定期的にPing的なメッセージを送信することで回避できます。
2番目のマルチDyno対応は通常のスケールアウトと何ら変わるところがないのでRedisを使うことでクリアです。
やっかいなのは最後、再起動対応です。
HerokuのDynoManagerはWebSocket接続がある場合でも容赦なく再起動をかけてくると思います。(試してませんが。。。)
これはHerokuの内部仕様なのでユーザ側では制御不能です。
以下、これに対してどういう対策が可能かを考えてみます。
★接続遮断時のクライアントの動作
Dynoの再起動をローカルでシュミレートする方法は単純に起動中のPlayframeworkをCTRL+Dで止めるだけです。
この時にクライアント側のJavaScriptがどのような動作になるかをまずは検証します。検証の方法は単純にWebSocketの onopen/onerror/oncloseイベントにconsole.logを仕込むだけです。
検証に使用したブラウザはChrome, Firefox, IE10です。
サーバ強制終了時に発生するイベントとその順序は以下です。
- Chrome: onclose
- Firefox: onclose
- IE10: onerror, onclose
IEのみonerrorが発生していますが、これは多分IEの問題はまたPlayのWebSocket実装の問題です。強制終了に限らずサーバ側からWebSocketを切断(EnumeratorでInput.EOFを送信)した場合、常に発生するので。
ざっと検索した感じ(Playの話ではないですが)この辺りが関連トピックかなと思いますが詳しくは調査していません。
onerrorイベントは発生していますが、例外でスクリプトが停止する等の実害はないのでここでは気にせず話を進めることにします。
重要なのは強制終了による切断であってもクライアント側からは単にサーバからWebSocketを切断されただけに見えるという点です。(PlayはShutdownHookでクリーンアップを行っているのでそれも関係あるかもしれませんが)
★oncloseで再接続してみる
安易ですがoncloseイベントが発生した場合に再接続してみることにします。
ローカルのテストでは手動で再起動を行っている関係で、切断直後はまだサーバが起動していません(※1)。当然接続はエラーになりますが、その場合以下の順序でイベントが発生しました。
- Chrome: onerror, onclose
- Firefox: onerror, onclose
- IE10: onerror, onclose
すべてのブラウザでonerrorとoncloseが発生しています。
onopenとoncloseって必ず対で発生するとは限らないんですね。。。イマイチこれが実装依存なのか正規の仕様なのかがW3Cの仕様見てもわからないんですが、とりあえずoncloseを拾って時間をおいて数回再接続を試みるような実装はできそうです。(※2)
※1 HerokuでマルチDynoで動かしている場合は再接続は別のDynoにつながるのでエラーなしで再接続できます。
※2 console.logは見てませんがiOS、Android(のChrome)でもリトライでの再接続ができているので、やはり接続失敗時にoncloseは発生しています。
★Window#onunloadでのoncloseイベントのクリア
ここまでの内容を実装して動かしてみるとローカル、Herokuともにいい感じに再接続ができています。(Herokuでの再接続のテストはCLIで「heroku ps:restart web.2」のようにDyno単位での再起動を行います。)
あともう一つ注意が必要なのはWebSocket#oncloseイベントはブラウザでページを閉じた場合などにも発生するのでその場合には再接続を行ってはいけないという点です。
ここではWindow#onunloadイベントでoncloseをクリアしていますが、ページ遷移以外のWebSocket切断があるアプリでは他にも制御が必要になるでしょう。
最終的なクライアント側のコードはこうなりました。(タグをつけようか迷いましたがmasterの最新です。)
https://github.com/shunjikonishi/websocketchat-redis/blob/master/app/views/chatRoom.scala.html
★まとめ
Dyno再起動に対応した再接続はがんばればできそうです。
しかし、ここをがんばる位なら素直にHeroku以外のプラットフォームを選んだ方が良いように思います。(^^;;;
しかししかし、EC2を使うとしてその場合にサーバの異常終了による予期しない切断の可能性を考慮しなくて良いかどうかは疑問です。
個人的な感覚としてはWebアプリはエラーが発生したとしてもリロードで回復するなら許せるんですが、かなり高い確率でそれもなんとかせぇと言われそうな気がしますね。。。(--
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まぁ必要に迫られたら考えますが、ふとこんな言い回しを思いつきました。
パフォーマンスもアベイラビリティも金で買ってください。
パフォーマンスは性能正比例で性能2倍になれば価格も2倍ですが、アベイラビリティは1%向上する毎に価格は10倍です!
昔友人が言っていた言葉の焼き直しですが、あながち間違ってないと思いますね。(^^;