はじめまして、昨年の12月からフレクトにお世話になっている、おっぴーです。 前職ではオンプレミスのサーバーでアプリケーションの運用をしていたので、フレクトにはいってから本格的にHerokuをさわりはじめました。 この情報見れないの!?等色々もどかしい思いをしつつ、その便利さに感動しています。
さて、今回はheroku-postgresqlのアップグレードについて書いてみたいと思います。
記事の要点を3行で。
- heroku-postgresqlのUpgradeにはデータ移行が必要です
- Upgradeの方法は3つあります
- pg:copyを使った方法はdowntimeを伴います
Herokuへアプリケーションをデプロイするとheorku-postgresqlをHobby Devという無料のプランで自動追加してくれます。 このプランは無料で利用できるものの、レコード数による制限があるなど、開発環境といえども使い続けるのに不便を感じることがあります。 そんなときには、レコードの数の制限のない有償のバージョンにアップグレードをおこないたくなります。 が、その際は、Papertrailなどようにupgradeのコマンドを打つだけ!ではなく、少し手間のかかる作業、データ移行が必要になります。
下記に参考のURLをご紹介していますが、HerokuのDevCenterで紹介されているheroku-postgresqlのアップグレードの方法は全部で3つあります。 今回は、開発中には最も一般的な方法(と思われる方法)をご紹介します。
ちなみに今回、ご紹介する方法の他には、
- followerとして新たにPostgresqlを追加してchangeoverする方法
- pg:upgradeを利用する方法
の2つがありますが、これらの詳しい方法と使いみちなどについては、下記の参考URLでご確認ください。
pg:copyを用いたheroku-postgreqlのアップグレード方法
今回は、Hobby Devプランでつかっていたものを、レコード件数制限がないStandard-0プランにあげるという想定で流れをご紹介します。 下記では、記事を公開するために架空のアプリケーション名やWorker dyno名をコマンドで指定していますので、ご自身で試される際は適宜、ご自身の環境にあわせて実行してください。
アップグレードしたプランのheroku-postgreqlを追加する
まずはアップグレードしたプランを適用したheroku-postgresqlを追加します。 今回の場合は、hobbyプランをstandard-0プランにしたいので、standard-0プランを追加します。 なお、有償プランを利用する場合は、あらかじめ支払情報の登録が必要になります。
下記のコマンドにより、standard-0プランのheroku-postgresqlが追加されます。 なお、--version はheroku-postgresqlのversionを指定するときに利用します。現状で、指定をしなければ9.3のpostgreqlが追加されます。 また、--appは対象のアプリを指定するコマンドです。作業するherokuアカウントが複数のアプリケーションをHeroku上にデプロイしている場合は、アプリケーション名の指定を求められるのため今回もつけています。
heroku addons:add heroku-postgresql:standard-0 --version 9.3 --app geisya
新たにheroku-postgreqlを追加した場合、利用可能になるまで時間がかかります。 下記のようにpgのwaitコマンドを利用すると、プロビジョニングが完了すると通知してくれます。
heroku pg:wait --app geisya
Dynoを停止してメンテナンスモードにする
あたらしいDatabaseの準備完了したら、データ移行の準備を開始します。 まずは、データ移行中にDatabaseが更新されないようにします。
ひとまず現状のDynoの状態を確認します。 psコマンドを入力するとアプリの現状に合わせて、Dynoのプロセスが表示されます。 なお「※Prodfileの起動コマンドが表示されます※」という部分にはProcfileに定義されている起動コマンドが表示されます。
heroku ps --app geisya === geisya_worker (1X): `※Prodfileの起動コマンドが表示されます※` gisya_worker.1: starting 2015/04/13 15:41:58 (~ 3s ago) === web (1X): `※Prodfileの起動コマンドが表示されます※` web.1: up 2015/04/13 14:47:22 (~ 54m ago) web.2: up 2015/04/13 14:47:19 (~ 54m ago)
上記を見ると、Worker Dynoが1つとWeb Dynoが2つ起動しています。 これからWorker Dynoを停止し、Web Dynoをメンテナンスモードにします。
heroku maintenance:on --app geisya
次に、Worker Dynoを停止しましょう。
heroku ps:scale gisya_worker=0 --app geisya
ちなみに、gisya_worker=0 のworker部分はProcfileで指定した名前を指定しましょう。 たとえば、hoge_workerとProcfile上で指定している場合は、上記のコマンドは、下記のように変更になります。
heroku ps:scale hoge_worker=0 --app geisya
もしも、Worker Dynoをご利用の場合、ご自身のProcfileの内容に従って、コマンドを変更してください。
追加したDatabaseに既存のデータをコピーする
メンテナンスモードになり、データ更新がされない状態になったら、コピー元のDatabaseのデータを新たに作成したDatabaseにコピーしましょう。 下記のコマンドは、DATABASE_URLで指定されている既存のDatabaseのデータを、新たに作成したHEROKU_POSTGRESQL_BLUEに移行すること意味します。
heroku pg:copy DATABASE_URL HEROKU_POSTGRESQL_BLUE --app geisya
上記のようにコマンドを打つと確認のため、対象のアプリケーションの名前を入力を求められます。 アプリケーションの名前(今回の場合はgeisya)を、入力するとデータの移行が始まります。
データのコピーには1Gごとに約3分程度かかります。今回のようにhobbyプランの場合、データの容量がそもそも大きくないためすぐに完了するはずです。 今回も10秒もかからずコピーは完了しました。 完了すると「Copy completed」と表示されます。
データがちゃんとコピーされているか、ざっと見たい方は、ここでheroku-posregsqlにつなげてデータの状況を見てもよいでしょう。
ちなみに、プロダクションの環境で大容量のデータをコピーする場合は、事前にどれだかかるかテストすることをHerokuのDevCenterの記事では推奨しています。 テストの方法は、単純です。 これからご紹介する手順をDatabaseの昇格なしで実行し、処理時間を計測する、というものです。 なお、昇格についてはのちほど、ご説明します。
なお、pg:copyはpgbackupsが削除されたことに伴い、pgbackups:transferの代わりとしてheroku-postgresqlに加えられた機能です。
コピーが完了したらDatabaseを昇格させ、メンテナンスモードを解除する
すべてのデータが新しいDatabaseにコピーされたら、新しいDatabaseを昇格させましょう。 昇格とは、新しく加えたDatabaseをアプリケーションから使うように設定を切り替える行為を指します。 具体的には、Heroku上でDatabaseのURLを指定する環境変数であるDATABASE_URLの値が書き換えられます。
下記のコマンドで、新しいDatabaseが昇格し、これ以降アプリケーションからは新しいDatabaseが使われるようになります。
heroku pg:promote HEROKU_POSTGRESQL_BLUE --app geisya Promoting HEROKU_POSTGRESQL_BLUE_URL to DATABASE_URL... done
ちなみに、ちゃんと昇格されているか、に関しては下記のコマンドで確認できます。
heroku pg:info --app geisya === HEROKU_POSTGRESQL_BLUE_URL (DATABASE_URL) Plan: Standard 0 Status: Available Data Size: 9.0 MB Tables: 10 PG Version: 9.3.6 Connections: 3/120 Fork/Follow: Available Rollback: earliest from 2015-04-13 05:54 UTC Created: 2015-04-13 05:47 UTC Maintenance: not required Maintenance window: Tuesdays 21:00 to Wednesdays 01:00 UTC
新しく追加した、HEROKU_POSTGRESQL_BLUE_URLの横に (DATABASE_URL)が表記されており、昇格したことが確認できます。
その後、メンテナンスモードを解除します。 まずは、Worker Dynoを元に戻します。
heroku ps:scale geisya_worker=1 --app geisya Scaling dynos... done, now running geisya_worker at 1:1X.
worker=1の1の部分は、追加するDyno数です。今回は1つで動かしていたので、1を指定して元に戻しました。 ご自身の環境では、運用状況に従って、Dyno数を指定してください。
Worker Dynoのあとは、Web Dynoのメンテナンスモードを解除します。
heroku maintenance:off --app geisya Disabling maintenance mode for geisya... done
上記のコマンドを実施することで、新しいDatabaseを利用した状態でアプリケーションがデプロイされた状態になります。
念のため、アプリケーションのDyno状況を見てみましょう。 ここでもpsコマンドを利用します。
heroku ps --app geisya === geisya_worker (1X): `※Prodfileの起動コマンドが表示されます※` geisya_worker.1: up 2015/04/13 15:49:26 (~ 14s ago) === web (1X): `※Prodfileの起動コマンドが表示されます※` web.1: up 2015/04/13 15:48:28 (~ 1m ago) web.2: up 2015/04/13 15:48:27 (~ 1m ago)
Worker Dynoが1つ、Web Dynoが2つ動いていることが確認できます。 この状態ですと、Web Dynoが問題なく動いているか、という点は確認できていません。 ですので、アプリケーションのログなどをみて、動作に問題がないことを確認したら、古いheroku-postgresqlの方は削除してください。
既存Databaseの削除は、Addonから該当のheroku-postgresqlを削除することになります。 下記のように、addonsのremoveコマンドはで削除対象のheroku-postgresqlの環境変数(今回の場合は、HEROKU_POSTGRESQL_CYAN_URL)を指定します。
heroku addons:remove HEROKU_POSTGRESQL_CYAN_URL --app geisya
removeコマンドを入力すると、削除の実行を確認するためアプリケーション名(geisya)の入力を求められるので、入力します。 以上で、heroku-postgresqlのプランのアップグレードは完了です。
いかがでしたでしょうか。 新しいDatabaseの追加→データのコピー→Databaseの昇格という一連の流れをご理解いただけたでしょうか。 実際の本番運用では、前もってサイジングを行うはずですので、なかなかheroku-postgresqlのプランをアップグレードをすることはないかもしれませんが、開発環境では利用されることもあると思うので、ご参考になれば幸いです。
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