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2012年10月 4日 (木)

Herokuの全文検索事情

こんにちは。

Herokuで全文検索(当然日本語)を行う場合にどういう選択肢があるのか調査したのでそのレポートを書いてみます。

 

★評価のポイント

Herokuには複数の全文検索Addonがあり、またPostgreSQLにも全文検索の機能があるのですが今回評価のポイントとしたのは以下の2点です。

 

・日本語に対応しているか?

全文検索は英語などのヨーロッパ圏の言語と、日本語などのアジア圏の言語(CJK)では実装の難易度が大きくが異なります。

英語なんかは単語がスペースや改行などのホワイトスペースで区切られているので、単語の分割で悩む必要がないんですね。一方の日本語の文章は基本的に切れ目なく連続して記述されるのでどうにかして単語を分割しなければなりません。

この単語分割の方法には「形態素解析」と「N-gram」という2つの有力なロジックがあってそれぞれに特徴があるのですが、とりあえずそこはまぁどちらでも良いです。

問題なのは欧米圏で作成されている全文検索のサービスは往々にしてホワイトスペース区切りの英文分割にしか対応していないということです。(--
なので全文検索対応を謳っている製品であっても初手からアウトということは結構あります。

 

・セキュリティ

調査を始めてちょっとびっくりしたことなんですが、全文検索業界(?)のセキュリティ対策はとんでもなくザルです。(--

ほとんどすべてのサービスがREST形式のWebAPIで操作を行うんですが、驚いたことに何の制限もかかっていません。
つまりURLさえ知っていれば誰でもインデックスにアクセスできてしまう訳です。

検索APIがどこからでも使えるのはまぁ良いかと思えるんですが、更新APIまでアクセスフリーなのってアリっすか???

誰かが勝手にインデックスを更新したり削除したりできるサービスというのはちょっと怖くて使えないと思うんですけど。。。

 

以降この2点を中心に評価レポートを書いていきます。

 

PostgreSQLの全文検索

HerokuはPostgreSQLのバージョンアップにはかなり良いペースでついて行っていると思います。2012年10月現在HerokuのPostgreSQLのバージョンは9.1.6(9.1系の最新)です。
この9月には9.2が出たのでこれも近いうちに追随すると思われます。

なので、9.1で入ったN-gram対応の全文検索が使えるはずです。。。

。。。が!、現在この機能を日本語圏で使用する場合はソースの一部をコメントアウトしてリビルドしなければならないらしいです。(これもかなりビックリしましたが。。。)

configパラメータすら変更できないHerokuではまぁ無理ですね。。。(--

 

WebSolr

Solrベースの全文検索サービスです。
4月のHeroku Meetupの時に中の人が来て宣伝してました。(^^;

その時には「Solr3.6からKuromojiという形態素解析エンジンが使える。それを使えば日本語の形態素解析も使えるようになる。WebSolrはまだSolrのバージョンアップをしていないが近いうちにやるつもりだ」というようなことを話していたと思いますが、いまだにKuromojiは使えないようですね。。。
N-gramでの検索は問題なく通りました。

セキュリティは困ったことに検索、更新APIともにアクセスフリーです。(--
これについてはサポートフォーラムに質問があがっていて、今作っているところだという回答もありますが、どうなっていることやら。。。

なんとなくですがスタッフまで含めて数名でまわしている気配を感じるので、あんまり多くは期待できない気がします。(これは今回調査したHerokuのAddonベンダーすべてについて感じた感想でもあります。)

あとWebの管理コンソールが貧弱なのもなんとかしてほしい。
せめて検索のテストは管理コンソール上からできるようにしてほしいです。

スキーマの設定については一応Solrのschema.xmlを丸ごと貼り付けることができるのですが、今のUIのままだとKuromojiに対応してもユーザー辞書の設定やStopWordsの設定とかができない気がします。

 

Searchfy Hosted Search

Index TankというサービスをラップしたAddonです。
これもSolrのようです。

日本語対応はおそらくN-gram。管理コンソールで検索のテストもできますが、設定可能な項目はWebSolrよりも少ないですね。

そしてこれも検索、更新ともにアクセスフリーです。。。(--

どちらかというとまだWebSolrの方が良いですかね。

 

Flying Sphinx

SphinxはPythonで作られた全文検索エンジンらしいです。
これだけ実際には試しておらずドキュメントを読んだのと日本語の対応状況を検索しただけです。

日本語の対応方法はいくつかのサイトで解説されていますが、ソースを変更しないといけないのでHerokuのアドオンでは無理なんじゃないかと思っています。(N-gramには標準で対応しているかもしれませんけど。。。)

APIアクセスにはヘッダにAPIキーを含める必要がありますが、NonceやHashとの組み合わせではないので、URLさえ知っていればアクセスできるというのとあんまり変わらないような気もしています。

試さなかったのはJava用のクライアントライブラリが用意されておらず、自分でREST APIのラッパーを書くのが面倒だったからですが他に良いのがなければまた戻ってきます。

 

Amazon Cloud Search

HerokuのAddonではないですが、AWSにもCloud Search(Beta)という全文検索のサービスがあったので試してみました。

が、日本語対応されておらずあえなく終了。。。(--

APIアクセスに関してはアクセス可能なIPアドレスの範囲を制限できるのですが、Herokuから使う場合Dynoが再起動する度にIPが変わるので使えない気がします。

ちなみに検索をかけていたら自力で日本語を分割して使用するというツワモノがいました。

自力でのワード分割は考えたことありませんでしたがアリかもしれません。

 

★自力でEC2にSolrを立てる

思考実験です。

Solrのサーバーを自分で立てるのは難しくありません。
EC2に入れてWebAPIとしてアクセスできるようにするまではすぐだと思います。

この場合、日本語対応は自力で形態素解析でもN-gramでもどちらでも自由に設定できます。

Securityに関してもServletFilterでヘッダをチェックするロジックを入れれば良いだけなので多分どうにでもなる。

ただ障害に備えて冗長化構成を取ることを考えた場合にはどうするのが良いのか迷いますね。。。
マスタ1台とスレーブ2台を用意して参照系はELBを通して常にスレーブのみを参照するようにするのが楽かな?

まぁいずれにしても最後の手段ですね。

 

★PostgreSQLに自力で分割したカラムを追加

思考実験その2です。

AWSのツワモノ記事を見て思いついたんですが、クライアント側でKuromojiを使用して分割した文字列を別カラムに登録するのはアリですね。
クエリー文字列も同様にKuromoji分割すれば複数単語の組み合わせにも対応できます。

形態素解析を行うのはクライアント側のプログラムなので辞書やStopWordの設定も自由自在です。

スコアやファセットが必要ないならこれで十分な気もします。

 

★まとめ

どんなもんでしょうか?(^^;

残念ながら現状では日本語をちゃんと扱える全文検索のサービスはどれもイマイチというのが今回の結論です。

セキュリティに目を瞑ればWebSolrも悪くはないんですが、普通はアウトなんじゃないでしょうか。

正直Solrを使えばWebSolr相当のものを作るのはそれほど難しくないと思うので、日本発のAddonの候補としては悪くないと思いますよ。 > 誰?(^^;

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